びばるのシコウ部屋

シコウ 思考 嗜好 志向 試行 施行 施工 指向 私行 至高? なんというか、楽しそうな音。

神も仏も その2

「人には、それぞれ生まれてくる意味があるんです」という方はよくいると思う。
誰かが悩んでいるとき、こう声をかける人は決して少なくない。

わたしも小さい頃いじめられたとき、学校にいけなくなったとき、家庭がぐちゃぐちゃなとき、死にたくなったとき、繰り返し繰り返し先生に言われてきた。
「人はそれぞれ生まれてくる意味があるんです。」
先生、それって、わたしがいじめられたり苦しめられるのは必然ってことですか?
そう聞いたら先生がそうじゃないと怒っていたことを思い出す。どうやらわたしが悪かったみたいだった。
ともかく、小さい頃から、わたしはその話は嫌いだった。

しかしいま、わたしがこの少ない経験で感じていることは、それに似ているかもしれないなと、ふと思っている。
あれから10年弱。
わたしをいじめていたリーダーの子は海外に留学してファンキーな人生を謳歌している。特に陰湿だった子は子供を産んで育児が趣味になった。親友だったトランスジェンダー(FTM)の子は一人称「ぼく」をやめて、立派なオフィスレディになった。
わたしは…みんなをみながら、相変わらず、何もできず、じっと途方もないことを考えてる。

人はそれぞれ経験することは違う。
持って生まれた性格も違えば環境も違い、考え方も経験も得意なことも違う。

わたしは今も「人はそれぞれ生まれてくる理由がある」とは言えない。
わたしには生まれてきた意味なんてない。そもそも望まれて生まれてきたのかもわからない。わたしは、生まれたときその瞬間からその子の使命が、ひいては未来が定まってる世の中はいやだ。

だから、わたしなら、「人はそれぞれ生きる理由がある」と言う。
生まれたときから苦しいんじゃなくて、苦しいことを経験した、他でもない「あなた」だから、できることがあるんだよ。そう、伝えてあげたい。